僕のクライエントさんに　アスペルガー症候群のK君がいます。

アスペルガー症候群というのは、ここで説明すると　かなりの

難しくて長い文章になってしまうので　おおまかに説明しますが

興味をもたれた方は是非　調べてみてくださいっ！

アスペルガー症候群は高機能自閉症の特徴を示しながら会話能力に遅れが見られない

状態像をいいます。言葉が出るのも高機能自閉症のように遅いということはなく

話し方が独特で抑揚のない口調や丁寧すぎる言いまわしで不自然な印象と思われがちです。

相手の気持ちを察するのが苦手で　言葉を字義どおりに解釈することはできても

言外に含まれる意味、微妙なニュアンスといったものをとらえることができないのです。

けれど、この個性の持ち主の中には　ものすごく優れた能力を発揮する人がいて

５０年前の何がつ何日は何曜日かと即座に答えられたり、一度見ただけのものを

記憶してスケッチできたり、一度聴いただけのメロディーを完璧にピアノで弾けたり

といった人もいるのです。このような人を「サヴァン症候群」ともいい、フランス語で

「賢人」という意味もあるそうなんです。

ただ、秘められた才能を生かす術を彼らはもっていません。それを開花させるには

周囲の人の気づきと暖かい支援が必要なんです。

こういった特徴の個性あるK君は　初めて僕の前に現れたときは

とにかく汗だくで、汗をかいているせいで顔は真っ赤で、視線もキョロキョロと

まともに顔も見てはくれませんでした。

あれから、１年近く経ったでしょうか・・　

この１年間で、K君は　ずいぶんと変わりました。

汗をかかなくなり、真っ赤な顔ではなくなり、目を見て会話をし

はにかみながら、笑うようになりました。笑顔のタイミングが絶妙になりました。

K君は本が大好き、お酒が大好き、だからといってお酒を沢山飲むといったことは

しません。とにかく本も難しい本を読みます。お酒もめっちゃこだわりがあります。

銘柄や産地味の特徴　聞く質問に全部答えられます。

その話を毎回聞くのも僕はとっても楽しみにしていてメモをとりながら

ついていくんですが、彼の読む本のタイトルと作者が全然わからないので

毎回「漢字どうかくの？」と聞くと、これまた　とってもわかりやすい漢字を

挙げてくれます。K君があまりに本の内容も簡潔にわかりやすく説明してくれるので

僕も興味が湧き、本を借りたことがあります。２冊のうち

１冊は、感情のある物語だったのですが

わりと読みやすく、彼はこれをどう受け止めたのかの反応も楽しみになり、後日聞くと

よくわからなかったことが沢山あったと言いましたが、読んだことが○なので

それを伝え、借りたもう１冊は　最初の１ページ目から　まったく脳に入ってこず

ほんとに、ほんとに　もう無理！！と本を閉じてしまいました。

それを返すときに

「K君　これなに？　全然読めなかったよ～無理無理・・・！！」と言うと

淡々と

「この本は　本が人を選ぶんですよ」　と・・・。

やっぱり～！！　と同時に　その言葉に感動！！

今まで　それなりに本は読んできた　この人生の中で

初めて出会った言葉！　本が人を選ぶ！！

僕はこの言葉に　大興奮！！

この言葉はK君の言葉ではなく解説に書いてあったらしいですが

僕がK君に　「K君は選ばれたの？」と聞くと

「僕も　訳がわかりませんでした」と笑いました。

彼が　笑うようになった理由には、リラックスがあると思いますが

振り返ると、僕はK君の前で　大爆笑してるんです。

彼の独特な淡々と言う言葉使いに愛しさを感じてしまうんです。

たとえば

「お母さんの料理はどお？」と聞くと

「はい。口に合います」と答えました。

お母さんの料理が口に合うっていう表現が楽しすぎて　爆笑します。

聞くときに　「お母さんの料理は美味しい？」と聞くと

「はい。美味しいです」と答えるとわかっているので

できるだけ　漠然と聞くんですが、　その答えのあとに

口に合うってことは美味しいってことだよね～と更に言葉の確認をします。

僕があまりにも毎回　本の漢字に苦戦したり、大笑いしたり、本を借りたり

彼の好きなことを根ほり葉ほり聞くことが、彼の平和な心に石を投げたのか

話しながら恥ずかしそうに笑うようになり、K君の笑顔が本当にいい顔だということを

知ると、次に会うのが待ち遠しくなります。まだまだ彼のエピソードは尽きないのですが

そんな彼が・・・・

先日　会うや否や、いきなり　左のズボンのポケットから

ごそごそとビニール袋のカタマリを出しました。初めてのことです。

左の画像のビニールです。そして　一言

「あげます」

え？　なに？　なに？　僕に？　

袋から出すと　　うどん風味キャラメル？？　　　　うどん県？

なにこれ～　　うどん味って・・・・　大爆笑！！　うどん味～？　スゲ～

すぐに、正月に四国に行くと言っていたので

その時の出来事だなとわかりました。

「新幹線の売店で買いました」　と・・。

どんな味？食べた？　と聞くと

「不思議な味です。うどんのだしの味がして塩けがあります」

嬉しかったのは、うどんキャラメル！！　　ではなくて

彼が、どんな気持ちで売店で僕のことを想って買ってくれたのだろうということ。

きっと笑うだろうなと、思ったのでしょう。選んだものが不思議なキャラメルってことも

ちゃんとツボを抑えています～。

どうして　僕のために買ったのか

という理由だけは　聞かないことにしました。

僕が　彼のことをあれこれと考えていたいからです。

クリスマスプレゼントにティッシュケースなどを贈ったことで贈られる気持ちを

感じたのかな？とか・・・ね。

もったいなくて

このキャラメル　しばらく食べられなかったんですが、不思議な味の体験に負けて

食べてみました。ホントに出しの味がします（笑）どんな味だったっけ？と

後引く美味しさです。

個性を持って生まれてきた人には、彼らなりに「生まれてきた意味」があると考えています。

K君は、探究心とこだわりがハンパないです。苦手なものがあるのは、人は皆あります。

知らないものを知っていく探究心がある彼に　これからも、それって美味しいっていうんだよ

それって楽しいということなんだよと　ひとつひとつ伝え続けていこうと思っています。

爆笑と共に。幸せをもらってるのは、僕なのです。