中学2年で学校に行けなくなったS君に
初めて会ったのは4年前。
車が好きで、
その好きのレベルは職人クラス。詳しすぎて
いつも、会うたびに、へぇ~ やら ほう~やら
僕は学ぶことばかり。月に一度のカウンセリングは
持参のプラモデルや、編集動画や、彼の世界観満載の時間。
くったくない笑顔で語る彼との時間は この先の明るい光ばかり
僕には見えていました。
義務教育の中学をなんとか卒業し
彼に合う高校を紹介し、人生は 何度でもやり直せる。
やり始めることができる!と彼に伝え続け 彼のことを本当に大切にしてくれる
学校のY先生とも密に連絡をしあい、彼の学校での様子、勉強のこと
この3年間、知らないことがないくらい、彼の学校生活を把握してきました。
プライベートでは、彼の初めてのアルバイトを見に行き 感激し涙し、一緒に回転寿司に
行って笑いながら食べたこと
湖にボートを乗りに行って初めて漕ぐオールの使い方を教えたこと、
原付の免許を取って免許証を見せてくれた満面の笑顔。
中古のバイクを改造して説明して見せてくれたこと、原付のバイクを見せたくて
僕が車で彼がバイクでツーリング(これは伴走だな)した峠道。
自転車で転んで入院するくらのケガをした日、アルバイトがしんどくて腰を痛めた日々
、車からバイクへ興味が変わり
合宿免許で中型免許を取ったこと、ラインで重ねた言葉の数々・・・。
不器用な彼が、僕に会いたいというとき、決まりセリフのようにいう言葉
「そろそろ会いたいっすね」 まるで ちょっと年下くらいの後輩のようないいまわし。
それが本当に可愛くて愛しくて・・・・。
僕にとってかけがえのない4年間でした。その素直でまっすぐで可愛らしい彼は
学校でも、先生からも愛されていたんだなということが
卒業式に行って、よくわかりました。
卒業式は、Y先生の提案で サプライズで
来てくださいといわれたので、忍者のように部屋に忍び、スーツ姿でやってきた
彼の目の前に登場すると、はにかんだ笑顔で「来てくれたんすか」と。
Y先生には、ハンカチ持ってきたほうがいいよと言われていましたが
涙もろい僕は、S君だけでなく、他の生徒さんの一言一言の挨拶に
全部ウルウルきてしまい、号泣するわけにもいかず、ハンカチではなく手で
時々涙をぬぐってしまいました。とてもいい式でした。
先が見えない中学2年のあの日からS君は、夢を持ち、希望を持ち、
働くことを覚え、お金の使い方を学び、人間関係に挫折し、
それでも、好きなことを追求する気持ちを忘れずにいたことで
彼は、これから、好きな道を迷うことなく進もうとしています。
まだまだ、山のようにつらいこともあるでしょう。
けれど、それと同じくらい、生き甲斐も感じるはずです。
最近の彼からのラインに こんなことが書いてありました。
「こうして だんだん大人になっていくんだな」と。
相変わらず、可愛くてたまらないです。
このS君のこと、なんでも僕は 母に話していました。
母は、S君のことが気になっていて、いつも、S君 最近どうしてる?と
僕に聞くのです。高校に入ったときも、そりゃ嬉しそうに 良かったねぇ~と
だから、この卒業式も、きっとそばで見ていてくれたでしょう。
これからの彼の道のりを 今までと変わらず
こっそりと僕は見守ります。
そして、そろそろ会いたいっすね。と彼が言う限り
会いに行きたいと思っています。
一期一会といいますが
僕がカウンセラーになって 会う人は みな一期一会です。
けれど、その関係が一度ではなく 続くことは これは「縁」だと思います。
そして、さらに「相性」というものもあるのです。
僕は 相性と縁がある限り、その関係を大切に こころの中で
ずっと温めていたいと思っています。
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